赤ちゃんと退院するときに産院から渡されるK2シロップ。
これって本当に必要なの?と疑問に持つお母さんもいるかもしれません。生まれたばかりの赤ちゃんに添加物が入っている薬を飲ませたくないという方もいらっしゃるかと思います。
今回はその成分とメリット、デメリットについて詳しく説明していきます。
K2シロップは飲ませてあげた方が良い
結論から言うとK2シロップは飲ませてあげたほうが良いです。多くの病院でも推奨されているように、現在では一週間おきに合計13回の内服がベストだと言われています。
K2シロップって何?
K2シロップの成分と作用
K2シロップはビタミンKを補うためのシロップ状の内服薬です。
出血したときに止血に必要なのは“血液凝固因子”と呼ばれる血液を固める作用のある蛋白ですが、この凝固因子の一部を肝臓で産生するのにビタミンKが必要とされています。
K2シロップの有効成分はメナテトレノンというビタミンK製剤で、赤ちゃんの身体の中で出血が起こったときに止血を助ける働きがあるのです。
ビタミンKが不足しがちな新生児
そもそも何故、ビタミンKだけを内服してまで補う必要があるのでしょうか?次の3つの理由から新生児にはビタミンKが不足しがちだと言われています。
胎盤を通りにくい
一般的に脂溶性(脂に溶けて吸収される)ビタミンは胎盤を通過しやすいと言われていますが、代表的な脂溶性ビタミンであるビタミンKだけは胎盤を通りにくいと言われています。
そのため、生まれてくる時点で新生児の体内のビタミンKは少ないのです。
母乳中のビタミンKが少ない
様々な食物を摂取できるようになると、食事からビタミンKを摂取できるようになります。
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんが摂取できるのは母乳やミルクのみで、特に母乳の中のビタミンKの量は少なく、個人差があるため、ビタミンKが慢性的に不足した状態になることがあります。
ビタミンKを作り出す機能が弱い
ビタミンKは腸内細菌が合成します。しかし、出生直後の新生児の腸内細菌叢はまだ確立されておらず、ビタミンKを十分に生成することができません。
K2シロップを飲まないとどうなるの?
日齢4〜5日目には出生時に蓄えてきた少ないビタミンKを使い果たしてしまい欠乏状態となります。
ビタミンKは止血に必要なタンパク質の生成に関わっているため、不足した状態では出血が止まりにくくなっており、ビタミンK欠乏性出血症を引き起こすリスクが高くなります。
ビタミンK欠乏性出血症とは
生後7日目までに頭血腫や吐血、血便で発症する早発型と生後1〜2ヶ月で頭蓋内血腫をきたす遅発型に分けられ、どちらも消化器や頭部といった重要な器官での出血が生じます。
頭血腫:主に分娩時の刺激により骨膜が頭蓋骨から剥離し骨膜直下の静脈から出血していることにより生じる腫脹
添加物が心配…
K2シロップを内服させたくないという方からよく聞かれるのは「生まれたばかりの赤ちゃんに添加物の入った薬を飲ませたくない」という意見です。
K2シロップに入っている添加物は、健康に影響を及ぼすものなのでしょうか?
安息香酸ナトリウム、クエン酸水和物、ゴマ油、水酸化ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、D-ソルビトール液、パラオキシ安息香酸エチル、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、香料
ケイツーシロップ0.2%添付文書
ケイツーシロップの添付文書によると添加物は上記のものです。
これらの添加物はいずれも厚生労働省が食品使用を許可した食品添加物であり、人体に影響を与えない量となっています。
参考:“指定添加物の検索”.公益財団法人日本食品科学研究振興財団.2020-06-18.https://www.ffcr.or.jp/tenka/kensaku/kensaku.html.(参照2024-7-1).
K2シロップを飲んだ方が有益性が高い
K2シロップに添加されているのは公的に安全性が確認されている物質と量であり、飲まなかった場合のリスクと照らし合わせて考えると、産院から指示された量をしっかりと赤ちゃんに飲ませてあげるのが良いと考えられます。
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